山本牧場
住所 | 〒088-2684 北海道標津郡中標津町字養老牛200-2 |
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連絡先 | TEL:0153-78-2140 FAX:0153-78-2140 |
店舗連絡先 | y-farm02@lapis.plala.or.jp |
店舗運営責任者 | 山本 照二(酪農部) |
店舗セキュリティ責任者 | 山田 悠紀 |
オーナー 山本 照二
(北海道フードマイスター)
山本牧場のあゆみ
1999年 | 家族4人で北海道に移住。 |
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2002年 | 中標津町養老牛で営農を開始。極寒の北海道で一年中屋外で飼育する完全放牧を実践。減農薬、減化学肥料、減配合飼料をめざす。 |
2005年 | 農薬の使用を一切やめる。 |
2008年 | 化学肥料の使用ををやめ有機肥料に完全移行。 |
2009年 | 牧場内に牛乳工房オープン。養老牛放牧牛乳販売開始。 |
2010年 | 配合飼料ゼロを実現し完全グラスフェドミルクに。 |
2011年 | 養老牛放牧牛乳が北海道庁主催の”食の達人が推薦する北のハイグレード食品”に乳製品として唯一の選定を受ける。 |
2012年 | 第8回コープさっぽろ農業賞大賞を受賞。 |
2013年 | 養老牛放牧牛乳が料理通信社全国お宝食材コンテストでお宝食材に選定。 |
2015年 | 牧場内にソフトクリームショップ”ミルクレーム”をオープン。同年法人化。 |
2016年 | 牧場開業15周年記念としてオーガニックファームフェス”ハーベストストック”を開催。 |
スタートライン
山本牧場のスタートラインは、北海道の大自然と真剣にものづくりに励む”農の職人”への憧れです。この思いは酪農をはじめもうすぐ20年になる今も変わりません。
生活協同組合で主に現場マネージメントの仕事を中心に流通業界に12年間関わりましたが、物を仕入れて販売するということをひたすらに繰り返しているうちに、より根源的なものを生産する仕事に一種のリスペクトを感じるようになったのです。一次産業ってかっこいいよなって…
新たな職業選択にあたっては“農業”というイメージはありましたが、“酪農”という選択肢が最初からあったわけではありません。僕自身、牛に対する興味は全くありませんでしたし、妻に至っては子供のころから犬や猫にさえ触ったことのない人間です。ただ家族で度々キャンプに訪れた憧れの北海道(特に道東地方が大好き!)で、“作り手”をめざすとなると、結局“酪農”というところに辿りつくんだと思います。中標津役場に電話して“そちらで農業をやりたいんですが…”と質問し、返ってきた言葉は“酪農をやりなさい!”という言葉でした。
“北海道で酪農!“
その時はじめて自分の進むべき方向がはっきりイメージできました。“広大な大地で牛がのんびりと草を食む、そこで家族がお互いの絆を深めながら楽しく生活する!”
フットワークの軽い自分は、このイメージを頼りに行動し、1年後には北海道人になっていました。
研修生活での疑問
別海で研修生活に入りました。当初は体力的にもつかな?という心配が大きかったですが、どうにか夫婦で克服できたと思います。ところが研修中に酪農の現場に多くのフラストレーションを感じるようになったのです。それは、自分たちの目指していたものとの“ズレ”によるものです。
一つは、憧れてたスローライフと、実際はゆったりなんかしてられない生産現場の現実とのズレ
一つは、“広大な大地で牛がのんびり草を食む”なんてことはほとんどない、生乳生産工場の機械の部品として扱われ疲弊していく牛たちの現実です。
こんなことをしたくて、ここまで来たんじゃないよな?というストレスを研修中は常に抱えていました。
そんな中出会ったのが、強烈な個性を放つ“放牧酪農家”たちでした。“牛も人も無理をしない”ライフスタイル、ワークスタイルと経営を両立させた実践に触れ、自分たちの夢は軌道修正されることなく、放牧酪農の道を選択し新規就農することができたのです。
アンチテーゼとしての放牧酪農
入植当時は、大規模経営指向が強く、完全に“質より量”の時代でした。“衛生的に搾る”ということと、“健康な牛の乳だけを搾る”という二点をクリアすれば、あとはいかに多く搾るかということのみが現場には求められました。そんな中で降って湧いてきたのが、BSE問題です。乳を出すなら何を与えてもいいという風潮がこの問題を発生させたと言っても過言ではありません。草以外の外国産の穀類やビタミンなどの粉類を多種、大量に調合させることにも何の疑問も無く、その飼料がどこの国のものなのかも、動物性のものなのかも、ほとんど頓着してなかったのです。BSE問題が起きて始めてじゃないでしょうか。牛に与えるものにも配慮しなければならないことを多くの酪農家が自覚しはじめたのは…
そんな中BSE問題の発生や飼料代の高騰傾向により、外国依存大量生産方式でない草の力に依拠する省経費型の放牧スタイルが、再び脚光を浴びてきたのです。
完全放牧~wild style
新規で入った私たちにとって、より自然に近い放牧スタイルと経済性を両立すべく選択したのが“完全放牧”という道です。これは一年を通じ、昼夜を問わず屋外で牛を飼育するといった方式です。-30℃ 近い、北海道の冬を屋外で飼うという方式をとっているのは、道内では数例を数えるのみです。“厳しい環境で自由に育てる”ことで、牛が獲得する生命力は経営に必ずプラスになるという判断もありましたし、牛舎内で飼う事によってかかる多くの経費を払う余裕も無かったのも事実でした。経営1年目は、購入した若牛がこの環境に慣れず病気や事故にあうことも多かったですが、2年目以降徐々に牛は寒い冬を克服していき、今に至っては、“日本一頑丈な牛たち”と誇れるまでになりました。
グラスフェド配合飼料ゼロ主義
“牛は草で育てるもの”と消費者の方は思ってらっしゃると思いますが、これは現実に対する大きな誤解です。牛は乾燥した状態で一日20kg(実際は餌の水分を含み60kgほど)の餌を食べますが、平均的な農家でも10kg(乳量ピーク時、多いところは15kgも)以上の配合飼料など草以外の穀類を与えています。即ち実際の牛の主食は草ではなく、穀類になっているのです。人間の場合も幅広い栄養をとることを目的にカロリー補助食品やビタミン等の機能性食品を多くとる方が増えてますが、牛も同様で、本来草食動物として食べるべき主食は半分にも満たないのが現実なのです。配合飼料は栄養価も高く乳量も増えますし、栄養成分も必要以上に増加しますが、アメリカ等の外国産のため遺伝子組み換えされた穀類がほとんどですし、船便による輸入のため防カビ剤を含むポストハーベスト農薬がかけられています。近年増える食品アレルギーは、乳製品も例外ではありませんが、こうした配合飼料の大量給与と無関係ではないでしょう。
山本牧場は “牛は草で育てる”ということにあくまでこだわり、開業時一日8kg(乳量ピーク時)給与していた穀類を年々減らし続けました。これは、現在の乳牛は、配合の大量給与に適応するように改良されてるため、市場で購入した牧場開業当初の牛が極端な配合減に対応できないと判断し、徐々に体質を変化させていったことを意味します。最終的な配合ゼロを目指していましたが2010年春、ついに牛たちの無配合飼育を実現するに至りました。
フードマイレージ
近年、消費者の環境意識が高まる中、化石燃料を浪費しないで食品を採るフードマイレージの考え方が広がりをみせています。実をいうと、牛乳ほどフードマイレージの高い食品は少なく、外国産の飼料を大量に牛に与えてることや、草の発育のもとになる化学肥料も海外からの輸入に依存していることがその原因となっています。そんな中、牛に大量の穀類を与える一方で、アフリカなど開発国での飢餓の問題が深刻化するといった、地球規模での食品流通の歪みが指摘されています。養老牛放牧牛乳が極端にフードマイレージの低い牛乳として、これからの食品のあるべき姿にも一石を投じるものと確信しています。
養老牛放牧牛乳発売!
一般的に市販されてる牛乳は、様々な農家で生産された生乳が混ぜ合わされたものです。それには、こだわりの利いた生乳も入っていれば、大量生産をよしとして作られた生乳も同じレベルのものとして一緒くたにされてしまってるのです。
北海道移住以来、本物の“作り手”になることを目指してきた私たちにとって、この牛乳という商品の現実は相当なストレスを感じるものでした。こだわりのある生乳を作っても全く評価されないシステムなら、酪農家は量的な拡大方向にアイデンテティーを求めざるを得ませんし、それにより益々消費者の方々との距離を広げることになってしまいます。この矛盾を打ち破るためにも、山本牧場はオリジナル牛乳の発売を早い時期から視野に入れ、消費者のみなさんに誇れる生乳作りに励んできました。
牛乳は実を言うと個性的なものであり、餌の違いや育て方で風味が異なってくるということをより多くの方々に感じていただきたいのです。
より自然に!より愛情あふれる牧場目指して
養老牛放牧牛乳がお客様に広く認知されはじめた今日この頃、牧場は様々な取り組みにチャレンジしてきています。
*人口受精をやめて自然繁殖へ
現在酪農の現場では冷凍精液を使った人工授精がほぼ100%行われています。本交と言われる自然交配はかつてはごく少数でも行われてきましたが、発情し狂暴化した雄牛による人間への攻撃で命を落とす酪農家も多く現在はほとんど行われることがなくなりました。より自然な放牧スタイルをめざす山本牧場も人工授精から自然繁殖へ移行させるための可能性を探り続けていましたが、自家産の雄の子を他のメス牛と小さい時から共同飼育させより穏やかに育てることで安全性を確保する方法で2016年より自然繁殖へと切り替えました。
*親子共同飼育へ
母牛が分娩した場合、子牛はすぐに母牛と離されて育てます。狭い牛舎飼いの場合牛たちの動きは制限されますので、母牛が子牛を育てることは不可能です。山本牧場は放牧スタイルを実践するため親子共同飼育を実現する可能性はありますが、他の牛たちとも生活をともにするため体格差による危険性や搾乳時の牛集めの苦労を考え実現を躊躇してきました。しかし、自然放牧へのこだわりと、親子を離さない事によりはぐくまれる愛情を牧場に満たすことは必ず牛乳をおいしくする事に繋がるという判断で2017年夏より親子共同飼育を開始しました。冬場の寒冷期の分娩等の場合は現実的に無理な場合もありますが親子が仲睦まじい様子は本当に癒されるもので母牛のモチベーションにも影響するものと感じています。養老牛放牧牛乳はおいしさと健康的な牛乳づくりのためやるべきことはほぼ完了していると思っていましたが、“お母さんの愛情弁当“のおいしさの意味を知り、食べ物に愛情を振りかけることの大切さこそがおいしさの最後で最高の決め手になると実感しています。
*オーガニックスタイルファームフェス“HARVEST STOCK”開催!
2016年10月22日、山本牧場内で複合型音楽イベント“HARVEST STOCK”が行われ、およそ400名の方が北海道のはずれの牧場に集結しました。丸一日プロのミュージシャンの演奏が行われ、ソフトクリームの巻き放題体験、放牧見学、ドローン飛行体験等の企画、道東のおいしいものを22店舗集結させたファーマーズマーケット、BBQに、翌日までのキャンプ等牧場をスタイリッシュに遊びつくす企画の数々で、オーガニックなライフスタイルの魅力や酪農の喜びと楽しさを発信して、大きな反響をいただきました。
*ソフトクリームショップミルクレーム開店
2015年わずか16万円のおんぼろコンテナを改装した山本牧場初のアンテナショップ“ミルクレーム”を牧場内に開店しました。放牧牛乳ソフトと手焼きのワッフルコーンのおいしさ、一個500円という価格設定や当時珍しかったコンテナ店舗のシンプルな内装や、お店自身の場所のわかりにくさ等話題になり、夏休み期間を中心に多くのお客様にお越しいただくようになりました。
*SDGsの取組みで牧場から世界を変えていこう!
世界の抱える問題を、個人や企業などの団体、自治体や国家などが自らの立場で解決の方向に向けてアクションすることを謳い2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)と共同歩調をとり、持続可能な農業を地域と連携して進めていきます。
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